1.社会医療法人・特定医療医療法人の特徴
- ● 「社会医療法人」とは
- 第5次医療法改正で創設された新しい医療法人類型です。救急医療・へき地医療等公益性の高い医療の実施が求められる一方で、医療保険業は非課税、収益事業が可能、社会医療法人債が発行可能などのメリットがあります。
- ● 「特定医療法人」とは
- 租税特別措置法第67条に基づき厚生労働省が告示し、国税庁長官の承認が必要となる医療法人です。承認されれば、法人税22%の系全税率が適用されます。公的な運用が求められ、役員報酬、差額ベッドの上限等厳格な要件が定められています。
2.申請から認定・承認までのスケジュール
3.社会医療法人の申請と指導ポイント
●社会医療法人認定のための3要件
- ①救急医療等確保事業に係る基準
- 社会医療法人認定の要件の大前提は、救急医療等確保事業を行い、かつ医療計画に記載されることです。また、法第30条の4第2項第5号イからホまでに掲げるいずれかの事業(救急医療等確保事業)に係る業務を当該病院又は診療所の所在地の都道府県において行っていることと定められています。
- ②公的な運営に関する要件
- 社会医療法人は公益性の高い医療を担うことが求められていますから、運営についても公的に行わなければなりません。遊休財産や株式等の保有について規定されている点が特徴です。
- ③事業に関する要件
- 社会医療法人には、事業に関しても要件があります。周産期医療が事業要件のひとつとされていることから、特定医療法人と異なり、助産に係る収入金額(一の分娩に係る助産について50万円を限度とする)が要件に組み込まれています。
●社会医療法人の特例事項
- ①医療保険事業収入は非課税。その他の業務に対する法人税率に軽減税率を適用(22%)他
- ②救急医療等確保事業を行う病院及び診療所に係る固定資産税等の非課税
- ③収益業務および福祉事業ができる
- ④社会医療法人債が発行できる
4.社会医療法人のみが行うことができる収益業務
社会医療法人のみが行うことのできる収益業務については、平成19年3月30日付け厚生労働省告示第92号において定められています。
- ①収益業務の要件
- 一定の計画の下に収益を得ることを目的として反復継続して行われる行為であって、社会通念上業務と認められる程度のものであること。
社会医療法人の社会的信用を傷つけるおそれがあるものでないこと。
経営が投機的に行われるものでないこと。
当該業務を行うことにより、当該社会医療法人の開設する病院、診療所又は介護保険施設の業務の円滑な遂行を妨げるおそれがないこと。
当該社会医療法人以外のものに対する名誉の貸与その他不当な方法で経営されるものでないこと。
- ②収益業務の種類
- 日本標準産業分類より下記に掲げるものとする
- ・農業
- ・林業
- ・漁業
- ・製造業
- ・情報通信業
- ・運輸業
- ・卸売
- ・小売業
- ・不動産業(建物売買業
- ・土地売買業を除く)
- ・飲食・宿泊業
- ・教育・学習支援
- ・医療・福祉(病院、診療所又は介護老人保健施設に係るもの及び医療法第42条各号に 掲げるものを除く)
- ・サービス業 ・総合サービス業
- ③収益業務の範囲
- 病院等の業務の一部として又はこれに付随して行われるものを含まないものとする。
5.特定医療法人の申請と指導ポイント
特定医療法人を申請するためには、原則として、出資者全員が放棄に同意し、出資持分放棄同意書に署名捺印していることが必要になります。
●施設要件
その医療施設のうち一以上のものが、次のいずれかに該当すること。
- ①病院であって、40人以上の患者を入院させるための施設を有すること
- ②もっぱら皮膚泌尿器科、眼科、整形外科、耳鼻咽喉科又は歯科の診療を行う病院であって、30人以上の患者を入院させるための施設を有すること
- ③救急病院等を定める省令(昭和39年厚生省令第8号)第2条第1項の規定に基づき、救急病院である旨を告示されていること
- ④救急病院等を定める省令第2条第1項の規定に基づき、救急診療所である旨を告示され、かつ15人以上の患者を入院させるための施設を有すること
●収入要件
- ・社会保険診療に係る収入金額の合計が、全収入金額の100分の80を超えること。つま り、自費が2割を超えてはならないということです。
- ・医療診療による収入額が、医師、看護師等の給与、医療の提供に要する費用(投薬費を含む)等患者のために直接必要な経費の額に100分の150を乗じた得た額の範囲内で あること。要するに、利益を残しすぎてはいけないということです。
Step1
事前診断で申請上の課題・改善点を抽出
- ①要件充足度を徹底診断
- ●社会・特定医療法人制度の理解
- ●申請要件診断
- ●診断結果を理事会で報告
- ②訪問調査対応分析
- ●特別の経済的利益をチェック
- ●各種院内規定のチェック
- ●役員の意識改革と内部けん制
社会・特定医療法人の概要について、十分にご理解いただきます。その上で、事前診断を行い、新生児の不安要素を払拭し、改善項目を明確にします。
ポイントとなる特別の経済的利益の有無について重点的にチェックします。
Step2
事前診断で申請上の課題・改善点を抽出
- ①
申請書作成と所轄官庁との折衝を実施
- ●事前資料の提供依頼
- ●申請書作成及び所轄官庁提出
- ②所轄官庁との折衝
- ●申請前に事前交渉を実施
- ●申請書提出後追加資料対応
- ●申請上の懸念事項の解消
申請に必要な各種規定を含めた書類を作成するとともに、所轄官庁との折衝を行います。
申請書類以外にも、議事録や各種規定の整備が求められますので、当社のノウハウが無駄な作業を排除し、効率的な申請をサポートいたします。
Step3
訪問調査対策及び実地対応をサポート
- ①社会医療法人・訪問調査対応
- ●都道府県との事前打ち合わせ
- ●訪問日程等スケジュール調整
- ●救急医療等確保事業要件確認
- ②特定医療法人・訪問調査対応
- ●事前資料の準備
- ●理事長面談の打ち合わせ実施
- ●最終チェックと実地立会い
社会医療法人は都道府県、特定医療法人は所轄の国税局が訪問調査を実施します。申請要件が正しく記載され、運用されているかについて、細かくチェックがなされます。
当社では、事前準備及び実地対応をサポートいたします。
Step4
定款変更の申請及び定期報告書の作成指導
- ①社会・特定医療法人定款変更
- ●議事録他申請必要書類作成
- ●社員総会での議決事項整理
- ●所轄官庁への定款変更提出
- ②定期報告書の作成指導
- ●定期報告書フォーマット提供
- ●定期報告書作成指導
- ●社会・特定医療法人定期報告書
社会医療法人は新生児に、特定医療法人は内示後に定款変更手続きが必要となります。
認定・承認後も短時間で業務が実施できるように申請をサポートいたします。